ごく一般的な論として、夫婦のうち片方の収入を低く抑えて扶養控除を受けた方が税金の負担が減る。家計が助かる。と言われています。そのため扶養の範囲を超えないように、年末になると収入額の調整を試みる人も少なくありません。昔は結婚したら、女性が退職するのは当たり前でした。しかし最近では男性が主夫になったり、夫婦のうち2人ともがフルタイムで働いており、かつ子どもを持たない。という、ディンクスとも呼ばれる共働きの世帯も増えてきました。ここで気になるポイントは、ディンクスと扶養家族のどちらが税金を納める上でお得なのか?という事です。よく共働きだと損、という話がありますが、実際にはどうなのでしょうか?

残念ながら、夫婦のうち2人ともが正社員。などといったディンクスの夫婦が受けられる税の恩恵は、今現在はないようです。共働きの夫婦でも扶養の範囲内で働いている夫婦の方が、控除の面ではメリットが高いのが現状です。その代わり、以下のような方法で扶養家族を作って控除を受けている方もいます。それはどんな方法なのかと言うと、子どもを2人以上持つ。という事です。

より具体的に言うと、2人いる子どものうち1人を夫の扶養に、そしてもう1人を妻の扶養に入れるという形式です。何故、まとめて扶養に入れないで、そんな面倒な事をするのか?と言うと、扶養の数を夫婦でうまく分散させる事で、夫婦2人にかかる税率を下げる事ができます。主にこれは、所得税と関係しています。また、所得税は収入の多い人の方が高い税率が加算されるため、場合によっては夫婦のうち収入の多い方にまとめて子どもを扶養に入れてしまう。といった方がお得になる場合もあります。

その代わり、子どもを持たないディンクスの夫婦の場合、税金ではなく老後の年金といった面でメリットがあります。何故かと言うと、夫婦2人がそれぞれ個別に社会保険に入り、厚生年金を別に支払っているからです。そして個別にそれぞれ厚生年金などを支払っている場合、当然ですがもらえる年金も2倍になります。若い時に負担する金額が他の夫婦に比べて多い分、老後に受けられる恩恵が大きい。といったメリットがあると言えるでしょう。

また、ディンクスといった生き方は、ごく最近から登場してきたものです。そのため、ディンクスの夫婦に対する税金の制度自体がまだ整っていない。という側面もあると言えるのかもしれません。生き方はそれぞれですので、損得を考えるのではなく、自分が納得できる形で生きていくのが一番良いでしょう。